香里自動車教習所 安全運転管理支援チーム
バック事故防止講習の必要性
下記図を見てください。バックでの駐車は安全運転の基本動作が集約されたものです。
事故もなくスムーズに駐車するためには、自分が運転する車の特性、死角、車両感覚等を理解したうえでないとバック事故は減りません。
バック事故を減らすためには、駐車方法を教える前に、死角、車両感覚、内輪差・外輪差等を理解させたうえで「停まる」「確認する」「やり直す」必要性を体感させればバック事故は減少します。また細街路での交差点事故の減少にもつながります。
項 目
○ 事故歴のある人は、 ○ 安全確認を指摘された人は、 ○ 一時停止を指摘された人は、 |
安全運転管理者・運行管理者のための実務月刊誌
月刊 「自動車管理」3月号 に、安全運転管理支援チームの実技講習 ■「原点回帰講習」■「バック事故防止講習」が紹介されました。
█ 衝突部位を見れば原因と指導方法がわかる。
衝突部位から見た分析と指導方法で貨物車用と乗用車用の二種類があります。
なお「バック事故分析&指導ツール」は無償公開しておりますのでバック事故でお悩みでしたら使ってください。
バック時の基本は【安全】
≫停まる。確認する。
≫危険に感じたらやり直す。
がポイントです。
死角と車両感覚の理解
≫人の車両感覚は曖昧・大雑把で、死角を理解していないと正しい車両感覚は身につきません。
そのためには、
≫自分が運転する車(車長・車幅)を知る。
≫前方、後方、左右の死角
≫前方、後方、左右の車両感覚
≫内輪差、外輪差
≫車の誘導と切り返し
≫バック速度と停止距離
を体感することが必要です。
▼支援チームの実技講習では、まず「死角」「車両感覚」等の「原点回帰講習」で車を理解していただうえで各コースの実技講習に移ります。
「違反者講習受講者の運転観察結果データ」を見ると
停まることができない人は、安全確認もできていない。
安全確認できない人の半数は、 停まることができていない。
のです。
当校では、企業向け実技講習以外に「違反者講習受講者」も実施しております。
この違反者講習では実技講習も含まれ、その内容について指導員が「運転観察結果表」を作成します。
この「運転観察結果表」を分析したものが、下記のグラフです。
この内容を見ると「停まることができない人は、 安全確認ができていない。」また「 安全確認できない人の半数は、 停まることができていない。」のです。
また、
≫企業講習で右図の車両感覚講習をしますと、ほとんどの受講者はカラーコーンに衝突しません。
これは、障害物を認識しているからできることで、認識していなければ衝突するでしょう。
バック時の速度は、一般的に人の歩く速度(5km/h前後)ということから「すぐ停まる」との意識が働きます。
しかし、人間が操作する以上、停止距離は存在し、その停止距離の殆どは空走距離が占めています。
検証動画 「原点回帰講習」バック時の急制動
20歳代男性 平均反応時間(指操作) 0.61秒
▼ 時速6km/h
≫ 計算上の停止距離 1.22m
(空走距離 1.02m + 制動距離 0.2m)
◆体験講習 バック時6km/h での停止距離は、
≫ 踏み替え時➡ 1.12m
≫ 構え 時➡ 0.79m
動画 「原点回帰講習」バック時急制動
となり1m前後の停止距離が必要になります。
★ 障害物を確認していない。+ 停止距離 ➡ 事故~ 気づいたときは遅いのです。
この「すぐに停まらない」ことと、「自分が思っている車両感覚はあてにならない」ことを認識・理解させたうえで、「停まる」「確認する」することの重要性を理解また動機づけできれば、駐車場や道路での交通事故は減少します。
◆ 違反者講習実技講習観察結果から見た 「一時停止」 と
「安全確認」
○ 事故歴のある人は、(グラフ1)
●すべての項目で事故歴なし者より指摘率が高くなっています。
●指摘率の高い順番は、危険予測、一時停止、安全確認 となっています。
○ 安全確認を指摘された人は、(グラフ2)
停止・一時停止の指摘率が、
安全確認を指摘されていない人よりも、指摘率が2.3倍も高く、また、標識や標示の確認や危険予測についても、2倍以上も指摘されています。
○ 一時停止を指摘された人は、(グラフ3)
●全員が安全確認を指摘され、また標識・標示確認も約半数の人が指摘されています。
●一時停止を指摘された人のうち事故歴のある人は43%、指摘のない人の1.5倍の事故者率となっています。
大阪香里自動車教習所では、大阪府公安委員会指定の違反者講習実施教習所で、年間100名余しの講習を実施しております。
私どもは、この受講された人たちに注目し、過去2年間に受講された人の実技講習観察結果を分析し、その内容の一部が上のグラフです。
○ 違反者講習とは、交通違反等の基礎点数が3点以下の軽微違反により、その累積点数が6点になった人で、
「実車による安全運転講習」 や 「交通安全活動体験講習」 の選択ができます。
○ グラフの対象者は、違反者講習対象者のうち「実車による安全運転講習」を希望した人 235人を
◆グラフ1 事故歴(5点以下)含む者 78人 と 違反歴者 157人
◆グラフ2 安全確認を指摘された66人 と 指摘されなかった 169人
◆グラフ3 一時停止を指摘された53人 と 指摘されなかった 182人
比較分析したものです。
先般、西日本JRバス(株)との合同研修会で感じましたことを紹介します。
同社では「バック事故はほとんど発生していない。」とのことでしたので、特に注意してバック時の指導の内容を見ていますと、“ 安全確認 ” すなわち『止まる。確認する。やり直す。(無理をしない。)』を徹底して指導され、特に、バック時の安全確認は、バックモニターがあっても二段階停止!
➡ 停車位置4〜5m手前で停止(一段階)し、目視とモニターで再確認、その後微速でバックし停止(二段階)
など、 確実な安全確認は停止しての確認が一番であることを実践されていました。
◆バックモニターは、モニターであり小さな画面でしかない。
→ 動きながらのモニター確認は見落とす場合もある。
→ 見えているが見ていない(注視せず障害物と認識していない。)場合もある。
等から、二段階停止を繰り返し実践指導させた結果が「バック事故はほとんどない。」という言葉に表れていると感じました。
このことは、原点に立ち返った講習「運転する車を知る。」「自分自身を知る。」ことがいかに大切かということに尽きると感じた次第です。
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