原点回帰の構内事故防止講習
~ドライバーと誘導員 合同講習~
構内事故を分析していますと、誘導員が配置されているにもかかわらず事故が発生しています。 なぜでしょうか?
大きな要因は、ドライバーと誘導員の信頼関係が希薄、情報の共有等がなされていない。
また、両者が「人(人間)というもの」及び「車というもの」の本質を理解していないことにあります。
誘導員を配置している事業所は、下記に記載してありますドライバー・誘導員合同の「原点回帰講習」の実施を検討してみてください。
原点回帰講習は、人(ドライバー)と車両に着目した講習ですので、車種を問わず実施できます。
▉ドライバーと誘導員 両者の「問題点」
お互いが、
●「車両や危険箇所(寸法等)の認識が曖昧」 ●「危険箇所を共有していない。」
●「車両特性を理解していない。」 ●「相手を信頼していない。」…不信感等などがあります。
▼ドライバー側の「問題点」
「運転している本人が全く危険を感 じていないのに、誘導員の声だけで即停止させる気にはならない。等の意識がある。
(誘導員の存在意義を無視した危険要因)
▼誘導者側の「問題点」
誘導中に見るべき危険箇所や車両特性の把握ができていないため、車両のどこを注意して見るべきか判断ができず、主体的に誘導や停止指示ができない 。
(車両が動けば、危険箇所も変化する。)
これらの問題点を解消するには、ドライバーへの原点回帰講習時に誘導員も参加させてください。
以降の内容は、支援チームが行うドライバーと誘導員合同の原点回帰講習とバック誘導方法です。
▋事前調査と意識付け(座学)
実技講習をはじめる前に次の内容を確認し、なぜ必要かを説明
❶車両認識度
長さ、幅、高さ
❷構内認識度
通路幅、建屋入口寸法等
❸車両死角認識度
前、左右、ミラーの視認範囲
❹停止距離認識度
・空走距離、制動距離の意味
・「反応時間測定と停止距離計算」ツールを使って計算上の停止距離検証
▋死角 (原点回帰講習部分)
▶ドライバーの死角検証後、誘導員が数名いる場合は、トレーラー後方左右に誘導員を立たせ、1名は運転席に…… ●目視、ミラー等でどのように見えるか? ●後方に立つ誘導員はどのように見えるか?……を体験
★ 「見えなくなる死角を事前に見る。」「車が動けば死角も変化する。誘導員は死角部分を補う。」ことを意識づける体験講習
▉ 死角-ドライバーの感想
➤思ったより死角の広さを確認できて良かったです。
➤思ってたより死角が大きかった。
➤死角となる場所があまりに広いので意外だった。
➤思ってたより死角があり、勉強になりました。
➤死角になっている部分が多数あり何回も確認しなが運転しようとおもう。
➤死角は思ったよりあり、車が動いている時(停止前に)に確認する。
➤思ったよりも死角が広いので、いかにカバーをするかを考えさせられました。
➤自分が思ってるより見える距離が多かった。
➤思ったより多いことがわかりました。
➤思ったよりも目視できる範囲が狭かったと思いました。
➤見えない場所は車から降りて目視する。
▉ 死角-誘導員の感想
➤思った以上に多い。
➤全体的に死角は自分が思っている以上に範囲が大きい。
➤多いと思っていたが、それ以上に死角があり驚いた。
➤思ったより広範囲が見えないので驚いた。
➤予想以上に死角が広かった。
➤トレーラーに乗ってみて思った以上に死角が多いことに気づいた。
➤停止中に左右の死角が思っていたより広いことに気づいた。
▋車両感覚 (原点回帰講習部分)
▶車両左側端感覚 ▶左右ミラーでのバックの車両感覚
●誘導員に同乗してもらい、ドライバーの確認動作やミラー等での視認状況を体験
★ 「自身の車両感覚は曖昧」「ドライバーの車両感覚の曖昧さを認識して事前に停止させる」ことを意識づける体験講習
▉ 車両感覚-ドライバーの感想
➤ミラーでの感覚が目で見るより距離感の違いがわかりました。
➤バックミラーと目視での感じ方の違いを感じた。
➤自分の乗っているトラック(大きさ等)をしっかり考え運転をしていきたいです。
➤ミラー感覚と目視感覚では結構な誤差が発生し、車体の大きさなども頭に入れておかなくてはならないと思いました。
➤乗っている車が大きいので余裕を持って車間を広げたい。
➤前進時、ミラー確認しないように目印になるようなもので左側感覚をつかむ。
➤前進時、ミラーばかりに頼らなく、自分なりの方法で前方の確認を怠らないよう運転していこうと思う。
➤前進時の左側感覚、自分の目安を見つけたい。
➤距離がかなりありました。
➤バックミラーを倒した状態では、やはり感覚がとりにくかったです。
➤トラック一台一台が感覚が違うことがあるからトラックの周りを一周して車両感覚を把握する。
▉ 車両感覚-誘導員の感想
➤自分が思ってる感覚と違った。
➤自分なりにポイントとなる位置を決めている事が必要だと思う。
➤運転席からバックミラーを見た際の人物が小さく、つかみにくいものだと思った。
➤バックミラーでの後退は距離感が非常に難しい。
➤ミラーで見るときと目測で見る時の違いが大きかった。
➤大型トラックと違ってトレーラーはヘッドの分だけ見える場所が思った以上にふさがった。
➤後方左右の距離感が割とあやふやだと思った。
▋停止距離体験 (原点回帰講習部分)
▶ 実技体験前の座学講習時に、停止距離関係の説明と、反応時間測定と計算上の停止距離等を説明して意識付けをします。
▶ 実技ではドライバーの急制動体験後、誘導員を介しての急制動体験を実施
■事前の反応時間と停止距離計算は、「反応時間測定&停止距離計算」ツールを使って検証
➤ 反応時間 10平均 0.64秒➤ 5Km/h時 計算上の停止距離 1.01m
▋誘導員を介しての停止距離測定
★ 「車は急に止まらない。」「急に止まらないことを意識して早めのかけ声で停止させる」ことを意識づける体験講習
▼ドライバー急制動 体験結果
●踏み替え時(アクセルからブレーキ)
➤ 速度 5km ➤ 停止距離 1.2m
▼誘導員を介しての急制動 体験結果
●踏み替え時(アクセルからブレーキ)
➤ 速度 4km ➤ 停止距離 1.7m
▉ 停止距離-ドライバーの感想
➤手前で停止するのは良かったと思います。
➤思ったより車が停止するまで距離が長いので安全な速度で運転したい。
➤空車でも停止距離が割と長いので積んだ時の距離を考えるとスピードを出さずにしようと思います。
➤急ブレーキを踏んでも、ビタッ‼︎と止まれず前進、後進の車間は余裕を持って移動する。
➤思っていたより空走距離が長くスピードを出さないように運転したい。
➤車は急に止まらないので早めの予測が必要
➤制動距離をいかに短くするか等を考え、スピードを抑え危険等を早く見つけていこうと思う。
➤思ってるより停止距離が小さかった。
➤停止までの距離がわかりました。
➤自分で思っていたより停止距離が長いと思った。速度を控えめにすべきだ。
➤空車、積載時では距離が違ってくるので十分に注意する。
▉ 停止距離-誘導員の感想
➤停止位置より早めに止める。
➤年齢とともに、どうしても距離が広がると思った。
➤今回は空車だったので思ったよりは短く感じたが重量物積載の距離はさらに伸びるだろうと思う。
➤空車での制動力でもトレーラーは止まらないので実車では特に注意が必要
➤車はすぐに止まらないとあらためて感じた。
➤停止距離は予想したとおり距離が長くなり時間がかかる。車は急に止まらない。
➤予測していたのですぐ止まれたが、実際はもう少し停止距離が長くなると思った。
▋車両バック誘導体験 (合同講習部分 基本編)
▶原点回帰講習部分で、車両特性等をドライバー、誘導員に双方に理解させたうえで、
●「危険箇所の共有」
●「誘導方法」
かけ声、停止箇所等
を含んだ誘導体験を実施
★ ドライバーと誘導者に「意思の疎通」「危険箇所を含む情報の共有」の必要性を意識づける体験講習
▉ 車両誘導-ドライバーの感想
➤運転席から見えるところでの誘導をしてほしい。死角での誘導を避けてほしい。誘導員の指示に従い運転手の勝手な判断はしないです。
➤誘導員の大切さがわかった。
➤バックの時は自分の思い込みをせず誘導員の指示をしっかり聞こうと思う。
➤誘導者と運転者が連携をとって行うようにする。
➤誘導している方が、こんなに死角があり目えないということが理解していない。事にビックリしました。
➤誘導員の合図と自分のミラー目視でバックをする。
➤誘導者に信頼をおき確実に指示に従ってバックしていこうと思う。
➤笛での誘導がわかりやすかったです。
➤誘導員と事前に打ち合わせしてバック
➤誘導員と事前ミーティングをしっかりとり、バック時は最徐行をして途中で一旦降りて自分で目視をしてから再度バックをしたいと思います。
➤無線や声よりも笛で合図をしてもらった方がわかりやすい。細かく誘導されれば目標物まで、あとどれくらいか分かりやすかった。
▉ 車両誘導-誘導員の感想
➤運転者と意思の疎通をとり誘導したい。
➤誘導員がある意味 権限を持っているので運転手に大きな声(笛)で伝わるようにすることが大事だと思った。
➤トレーラー運行において誘導の仕事は重大だと再認識した。
➤門柱までの停止を二段階でするのはとても良いと思う。
➤運転手の死角の所を重点におき、身の安全を確保しつつ確実に誘導する。意志を持ってしっかりとする。
➤バック誘導に関して、ドライバーとの意思の疎通が大切だと思った。安全確認の再認識
➤早めに停止を呼びかけないと止まれない。動いているトレーラーの後方には立たない。
事故対策に悩んだら、原点に戻った原点回帰講習が効果的です。 支援チーム