運転行動(認知・判断・操作)
と原点回帰講習
運転行動は、「認知」➤「判断」➤「操作」の3要素で行われています。
この3要素のどこかで運転者がミスを犯すと交通事故に発展します。
すなわちドライバーは一秒以内で「認知」「判断」「操作」を正しく行う必要があるのですが、この「認知」「判断」「操作」を過去の運転経験からくる自信や過信、また思い込みにより脇見をしたり、一部を省略したり、誤った考えで操作をして事故につながっています。
▌「ハンドル操作別 事故分析ツール」Excel版を2021.12公開しましたので参考にしてください。(車種別イラストを入れ替えることで、トラック(基本はトラック画像)、乗用車にも対応しています。)
ハンドル操作と衝突部位から指導点を探る。
▋交通事故は、認知・判断・操作が重複して発生している。
交通事故は、右図のとおり「①認知」と「②判断・予測」の各ミス単独の起こるのではなく、多くの場合で重複して発生している。
(財)交通事故総合分析センターイタルダインフォメーション「No.33 pdf 人はどんなミスをして交通事故を起こすのか 2001-08」
同資料では、「認知ミス」がエラーの80%を占めその原因は
▋認知ミス-「ぼんやり」「思い込み」 が主原因 ▋判断・予測ミス-「思い込み」が主原因
▋操作ミス-「慌て・パニック」「思い込み」が主原因
と「認知」「判断」「操作」のすべてで「思い込み」が主原因となっています。
█「思い込み」とは?
辞書では、「① そうだとばかり信じきっていること。② それ以外にはないと固く心に決めること。」
で、辞書的な意味では「ある考え方にとらわれて、合理的・理論的な考えや推論を無視して真実だと思い込むこと。」とあります。
▋このドライバー自身が運転する上での「思い込み」が正しいか否かを見極めるためには、ドライバー自身の認識、判断基準、操作方法等を質疑や実車を使った検証、すなわち基本に立ち返った「原点回帰講習」を通じて意識付けするのが効果的です。
人には不可能なことがあります。その一つが反応時間でこれをゼロにすることはできません。
この反応時間が距離になったものが空走距離で、更に制動距離が加わって停止距離となります。
ドライバーはバックや徐行などの場合、スグに止まれると思い込んでるふしがありますので、「反応時間測定&停止距離計算」ツールで意識付けを行ってください。
運転行動の「認知」「判断」「操作」と「反応時間(経過時間)」「停止距離」の体験が一度にできます。
下の表は、運転行動の3要素をバック時の行動に当てはめたものです。
▼ バック時の運転行動を考える。 |
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運転行動の 3要素と結果 |
内 容 |
事故発生要因➤例 バック時 |
対 策 | |
▋ 認 知 | 視覚、聴覚などによって周りの状況を把握 |
・見るべきものを見ていない ・一方のみ確認 |
・見たつもり ・判断すべき内容を曖昧に見ている |
原点回帰講習 基本に立ち返って
●自車認識
●死角認識 検証
●左側端感覚 検証
●車両感覚 検証
●前車との車間距離
●停止距離 認識と検証
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▋ 判 断 | 認知した結果に基づいて、どのようにするか決定 | 見る、確認していないので判断できない。 |
・発見遅れ ・希薄な認識により失念 ・誤った認識、過信 |
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▋ 操 作 | 認知と判断に基づいて具体的な運転操作を行う。 | 危険回避操作なし。 |
・回避操作 ・無理な操作 |
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▋ 結 果 | 交通事故の有無 | 衝突 |
間に合わず衝突 間に合っても誤操作かヒヤリハット状態 |
上記、運転行動「認知」「判断」「操作」の過信、誤った考え、また思い込み等を払拭させ正しい考え方を指導するのが下記の原点回帰講習です。
▋自車認識~ 分かっていそうで知らない。
車長➤ 1m余し短く感じている。
車幅➤ 10cm短く感じている。
車高➤ 10cm低く感じている。
▶自車認識は物を見る判断基準
▋ 死角距離
前後左右➤ 自身認識よりも死角範囲は広い。
▶見えなくなる死角部分を事前に見る。
意識をもって行動することが重要
▌自車認識 ~ トラックドライバーの場合
下記グラフは、30名のドライバーに自車の寸法を記入させた後、車検証の寸法との差をグラフにしたものです。
この認識の差が、交通事故を起こす要因の一つです。
▶大半の人が車長を短く感じていますが、短く感じていることの弊害は何でしょうか?
下図「ハンドル操作と衝突部位」を見て考えてみてください。
▼下記図は、某トラック会社で発生した事故208件のうち、動態時の201件を前進・後退に分類し、事故時のハンドル操作別による衝突部位を表したものです。
何に原因があると思いますか? 上の車両認識度グラフと併せて考えてみてください。
▋車両左側端感覚、車両先端感覚
~ ミラーを畳みラインから50cmに付ける。
車両先端をラインに合わす。
●左に寄る際、ミラーに頼りすぎことで前方左にある障害物を見落とす原因になる。
●左折時の巻き込み防止
■バック駐車時、一杯まで下がらず車両先端合わせの意識付け。
■信号のない交差点での見せる停止の事前指導
▶認知と判断は自分の目で確認することが基本
~ポイントを知れば難しく考えず操作ができる。
1回目 左側端 16cm 前 60cm
2回目 左側端 ほぼ50cm 前 0cm
▋ドアミラーと目視によるバック時の車両感覚
●遠近感感覚➤認知・判断・操作の体験
●遠近感は目視でも難しい。
●ミラーを介しての遠近感はさらに難しい。
▶自身の車両感覚は曖昧と認める。ことで安全行動を促す。
▼左ミラーと右ミラーによる車両感覚
▼目視による車両感覚と結果
▋ 停車時、前車との車間距離
日頃の信号待ち等での前車との車間距離
●前車のドライバーの立場であればバックミラーで見てどのように感じるか?
➤自身の前車への乗車体験で、相手の立場でミラー確認することで思い込みを払拭
▶威圧感を与えない。第三者から見た運転行動
▶誤発進時の距離稼ぎ。
▶前車走行不能時の安心感のある回避
▼日頃の車間距離
▼威圧に感じない車間距離
▋運転行動➤反応時間(経過時間)➤空走距離+制動距離=停止距離の存在
●停止距離の認識度調査と事前体験
▶「車は急に止まらない」ことの事前意識付け
●「認知」「判断」「操作」実車体験
▶実車体験での検証と意識付け
▼動画は「ながらスマホ」の体験を含む内容です。
「原点回帰講習」には、その他「内輪差」「外輪差」「バック駐車」「ながらスマホ」等を追加講習もできます。(20~30分の延長時間が必要になります。)
また、路上講習では原点回帰講習を基に、
●右左折、車線変更~ 「合図は車同士のコミュニケーション」
●信号のない交差点での通行方法~ 「見る停止」「見せる停止」「見る停止」
●走行中の車間距離~ 自身の距離認識と車間距離計搭載車での差異体験
等の体験指導を行っております。
バック事故防止指導 4つのポイントを意識させる“わけ”とは、【実技指導テキスト】 実車を使った交通事故防止指導マニュアル~基本を見直す原点回帰講習内の補助動画 実技動画⑦【バック駐車指導】~4つのポイントを取り入れたバック駐車指導(行動指導)に理由・根拠の説明を入れた動画です。
動画での乗車指導は、原点回帰講習での座学(2動画)及び原点回帰講習実技(7動画)を実施した後での実践指導となります。
▲クリックで動画を視聴できます。