内輪差の指導方法
(狭路交差点での左折、施設からの左折出、車庫からの左折出に対応)
内輪差による交通事故は、
≫狭路交差点での右左折時 ≫施設から右左折での出入り ≫駐車スペースから右左折での出入り
時に多く発生しています。
また内輪差が原因で事故を起こす人の根底にあるのは、
●自分が運転する車を知らない。
≫車長、車幅、車高 ≫死角距離(前後左右)…言えますか?(基本)
≫ラインに沿わす。ラインから50Cm間隔を空ける。…走行できますか?(車両感覚)
●自分自身を知らない。
≫自身の反応時間による空走距離…低速時でも車は急に止まらないことの認識
≫安全確認の必要性…死角存在を認識していない自己判断の運転
などを理解していない人たちです。
✱参考動画 施設からの出 ➡
内輪差の指導方法は、
まず、自身が運転する車の認識と死角についてはこのページでは説明しませんので、原点回帰講習、貨物車向け原点回帰講習等を参考に実施してください。
車両感覚については、内輪差の説明で必要な車両感覚のみを説明します。
関連項目
≫ 施設からの出入り事故防止の指導方法 (内輪差、二段階停止、カーブミラーと関連) ≫ ヒヤリハット分析から見た指導方法3(施設から出時の安全確認の実技指導方法) ≫ ヒヤリハット分析から見た指導方法6-2(信号左折時)に対する指導方法 その3(左折) |
▌「ハンドル操作別 事故分析ツール」Excel版を2021.12公開しましたので参考にしてください。(車種別イラストを入れ替えることで、トラック(基本はトラック画像)、乗用車にも対応しています。)
ハンドル操作と衝突部位から指導点を探る。
◆車両左側端感覚がつかめない人には、車両感覚の指導が必要です。
講習していて感じるのですが、「車は前を向いて走ります。では、どこを基準に見て走行していますか?」と質問しても答えられない人や「感覚です。」と答える人が多いのです。
これは乗用車に限ったことではなくトラックやバスのドライバーにも言えることです。
この感覚(自身の目で見た目標物)をつかめば細街路の走行や右左折時の基準となります。
■指導は、ラインに沿う。のとラインから50cm空ける。の二点です。
まず、理解させるために下記の写真のようにして体験させてください。また、車両感覚がつかめない人であれば、シールを貼ったまま車を運転させるといいでしょう。
①ラインに沿わせて駐車させてください。
②ラインから50cmの位置に車を誘導
①-2 日頃の運転姿勢で、ラインが見える位置にシールを貼る。
②-2 ラインと重なる位置にシールを貼る。
■左側端から50cmの空間は安全運転のキーポイント
50cm空間を意識して運転できるようになれば、「左折時には左側端に寄って…」の意味や細街路等での電柱等の障害物との接触する確率が大きく減少します。
また、右に膨らませてから左へ旋回する大回りドライバーをよく見かけますが、左側端を走行していても大回り左折をしてしまうと、後続単車等に通過できる空間を与えてしまい左折巻き込み事故に発展します。
乗用車、トラックにかかわらず左折する場合どの地点でハンドルを切れば左側の障害物に接触せず最小限度で曲がれれるか? を体験させるのが内輪差実技指導です。
▼内輪差指導
Q 停車位置から左に一杯ハンドルを切って左折すればカラーコーンに当たない位置は何処か❓
§ 実技指導条件(下のトラック動画参照)
カラーコーンは車体から50cm離した①②③のドライバーが左折できると思う地点に置かせて左折させる。
動画のように
▼30cmづつ進ませて、前輪と後輪の地点にチョークで印をつける。
※トラックの場合は乗用車と比べて車体の長い分内輪差も大きくなります。
▼内輪差は、ホイールベースの1/3の長さ
内輪差の見分け方には簡単な見分け方があります。
ホイールベースの1/3 後輪タイヤから1/3のところです。カラーコーンを置いてみて検証してみてください。プリウスの場合は
ホイルベース 2.7m 1/3は→ 90cm
▼Bピラーを基準にさせてください。
まず、Bピラーを基準にして停止、
停止後、+α(約1m)前進
Bピラーを意識させることで、施設からの出や車庫入れ時の基準点ができるようになります。
▼車の種類によって内輪差も違う。
社用車が下記図のように多様にわたる場合は、種類別に分けて指導してください。
また、種類の違う車に複数乗務する人は、全ての車について体験させてください。
左上写真の障害物に衝突しない左折方法
ハンドル操作のポイント(解説)
注:下記の1m前へ進むとありますが、これは乗用車タイプの車の場合で、ワゴン車や貨物車のように運転席が前の方にあり車長が長い場合は、更に前へ進んでハンドルを切らなければ衝突しますので、事前検証をしてください。
ポイント①
この地点でハンドルを切った状態にしない。
この地点でハンドルを一杯切って左折すると後輪タイヤがポールに接触します。 ➡
ポイント②
ハンドルを切らず1m前に進む。
真横に障害物を見たら、ハンドルを切らずに真っ直ぐ1mぐらい前に進みハンドルを切る。 ➡
ポイント③
A地点から1m進んだB地点でハンドルを切る。
▼上のイラストを参考にした指導方法
障害物を使っての指導
ポールに見立てた場合は紙筒花壇等であれば段ボール箱
等を使用してください。
条件~車体からポールまで50cm
上記、ポイント②を体験
運転席の真横に障害物がある状態で、ハンドルを左に一杯切って前進させてください。
上記、ポイント③と下記「障害物が死角に入る場合の指導方法」➡目標物を決める
~人を建造物・工作物の目標と見立てて体験させてください。
障害物が死角に入る場合の指導方法(目標物を決める)
写真のポールが障害物と認識していても、真横にくると、ポールは運転席から死角に入ってしまい見えません。
ポイント①
前方に障害物が死角で見えなくなると思ったら、横の建造物や工作物を目印にします。
ポイント②
そのためには、一気に出口や交差点直近まで行くのではなく、速度を落とし周囲の状況を確認することが必要です。
障害物との間隔についての指導
内輪差も重要ですが、障害物との間隔も重要になりますので、車両感覚の指導方法とあわせて検証してみてください。
この検証をしておけば、細街路の左折や駐車場からの左折で出る際にも通用します。
障害物との間隔が狭いと左折時、衝突する危険度も高くなります。
日頃から障害物から50cm以上の間隔をとる意識が必要です。
この機会を利用して、障害物との間隔を変えて指導してください。
◆駐車場から左折で出る際も同じ考え方での行動が必要ですので指導してください。
◆交差点での左折時に障害物との接触や脱輪防止にも内輪差指導講習が有効的です。
ステップ①
▼一気に出入り口まで行く人は要注意です。減速して前方の確認を指導してください。
障害物から右50cmに着ける判断も必要になります。
▼ステップ②
道路に出る手前での停止(二段階停止の一回目の停止)を指導してください。
この実践講習は、一時停止場所や、見通しの悪い交差点事故防止の講習と同じで連動しています。
ステップ③
▼道路に出る直前での停止(二段階停止の二回目の停止(見せる停止))は、車のバンパーを絶対に施設から出さない指導が必要です。
ステップ④
▼目標物を真横に確認できたら安全を確認しながら徐々に前進
~通行する、歩行者や車両に自分が施設から出る車両であることを認識してもらうためです。
▼1mほど前進したらハンドルを切って、右から来る車両等がないか確認したのち左折します。