運転中の携帯電話の使用と指導方法
業務中の交通事故で追突が多いようでしたら「運転記録証明書の分析結果」で「携帯電話の使用違反」の発生率が、事業所平均より高いか?
確認してみてください。
また、事故は減っているのに追突事故が減らない場合も携帯電話の使用違反どのようになっているか確認してください。
関連項目
≫ 交通事故対策に悩んだら「原点回帰」の体験型講習を!(交通事故形態に対応する事故原因と指導の考え方) ≫追突しないための体験型指導方法①(基礎編 ツール・アプリを使った空走時間体験等) ≫ 運転中の「ながらスマホ」に対する指導方法~ スマホ運転の危険性を認識させる指導方法 ~ new ≫ 交通事故発生報告書の記載例(安全運転指導の一つとして記載させましょう。) |
運転中の携帯電話の使用を考えると下記の悪影響が考えられます。
運転中の携帯電話の使用と悪影響 | ||||||
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運転 者 |
反応時間が遅くなる | 状況判断が遅れる |
集中力が無くなり 安全確認怠る |
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運転 行動 |
安定した車線走行ができない | 安全な車間距離が保てない | 安全な速度が保てない |
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運転中の
■ 携帯電話の使用=意識の脇見です。
脇見とは「運転に必要な対象・状況など見るべき方向以外に目を向けること」を脇見運転といいます。
しかし脇見には、自分が興味や関心を持つことに気をとられる[意識の脇見]があり、「見えているが見ていない」ことにより危険に対しての反応が遅れ事故になることがあります。
この「意識の脇見」が追突事故の要因にもなっています。
運転中の携帯電話の使用は追突事故を誘発する要因といわれています。このことを全国データと企業の例で見てみますと、運転中の携帯電話使用禁止対策を実施すれば「追突事故」が減少することがわかります。
下記のグラフは以前調査したもので、携帯電話の普及率・追突事故件数と取り締まり件数をグラフにしたものです。
◆ 携帯電話の普及率が高くなるとともに追突事故件数も増加
◆ 「携帯電話の使用禁止違反」が施行され取り締まり件数が増えると追突事故が減少
しています。
ということは運転中の携帯電話の使用が追突事故の要因の一因であることがわかります。
◆ 参考 26年中の追突事故件数 207,485件 携帯電話の使用違反取締件数 1,096,222件
問題点
◆事故総件数は減少傾向だが追突は増加
◆違反も減少傾向だが携帯違反の発生は変わらず。
社内対策実施(自社内コンテスト)
◆携帯違反が半減すると追突も半減
機器販売 社員300人 |
交通事故件数 | 交通違反件数 | |||
人身 +物損 |
追突 (内数) |
追突 比率 |
総件数 |
携帯違反 (内数) |
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2007年 | 41 | 7 | 17% | 78 | 11 |
2008年 | 30 | 8 | 27% | 60 | 13 |
2009年 | 21 | 10 | 48% | 64 | 11 |
2010年 | 22 | 3 | 14% | 57 | 5 |
交
通 事 故 分 析 と 対 策 ・ 実 施 |
★交通事故対策を行う場合は、業務中の交通事故データの分析と運転記録証明書・同分析結果を根拠データとして対策を実施してください。
このように全社的な対策を実施することで効果が表れます。
全社的な自社内安全運転コンテスト等を継続することにより効果は表れてきます。
この対策は、組織の一員という意識の中での注意喚起を促したもので、社員自身が理解して行動しているとは限りません。
「事故原因と指導」でもお話ししましたが、「知っているが、理解していない。」
「理解していないから行動できない。」ことを「理解して行動する。」ような教育・指導が必要です。
体験型指導方法の手順
下記表の①②③の順で行えば理解度が高まります。
③の実車体験までできない場合は、集合教養で①②までは実施可能ですので実施してみてください。
原因の 意識づけ指導 |
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反応時間が 遅くなる |
状況判断が 遅れる |
前方への集中力が 無くなり安全確認怠る |
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① 集合教養 |
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ビデオ等影像による意識づけ | ||||
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▼ |
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② 集合教養 または 実車講習時 |
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反応時間 体験と認識 |
自身の反応時間 = 空走時間 ➡ 空走距離 | |||
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③ 実車講習 |
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実車体験指導 |
自身の空走時間と実車停止距離体験 |
全社的な対策と同時進行すれば効果的です。
○ Youtubeの動画映像を利用するのも一つです。
◆右のボタンは、米運輸省高速道路交通安全局の啓発「運転中のメール送受信の危険性を訴えるCM」です。
参考にしてください。
注: 原本は削除されています。YouTubeに一部掲載されていましたのでリンクしました。
◆JAFが運転中の「ながらスマホ 」の危険性を実車実験した内容の動画です。 (9:26) ≫通常運転 ≫メールアプリ使用 ≫ゲームアプリ使用 ≫ハンズフリーで通話~ "ながらスマホ” は、合図や危険の発見が遅れることが分かります。
▌支援チームの「ながらスマホ」の指導方法 ➤ 事故発生時の機会教養、座学・集合教養方法 ➤ 実車による体験教養方法を説明しています。
具体的指導方法は、「管理者支援ページ」の⑬ 追突しないための体験型指導方法①(基礎編 ツール・アプリを使った空走時間体験等)と同じ内容になりますが、講習時一人指名して反応時間を測定し、その結果と速度、停止距離を考えさせます。
■ ツールの利用した反応時間(空走時間)測定と停止距離計算
【指導用ツール】
原点回帰講習用「反応時間測定&停止距離計算」ツールは、「車は急に止まらない」ことを意識してもらうための指導・教養ツールです。
実技実施する前に検証すると効果的です。
特徴として、反応時間測定と停止距離計算が一画面で測定と計算ができます。(30.4公開)
▼停止距離結果画面
~反応時間結果に基づいて停止距離計算
■携帯・メールを操作しながらの反応時間測定
一般的なブレーキ操作の反応時間は、0.75秒と言われていますので、下記の応用内容を参考にして操作させください。
❶ 指の位置をスマホから離して操作させる。
❷ 携帯やスマホで通話しながら操作させる。
❸ メール内容を読ませながら操作させる。
また、操作途中に質問を投げかけ注意を逸らす等反応時間がどのように変化するか色々試してみてください。
※平均時間の記録
実施した場合、すべての平均反応時間を記録しておいてください。別掲載の「2 車を使用した追突防止体験講習方法」で使用します。
▋他の停止距離計算ツール
■ 反応時間を基に速度に対応した停止距離を確認させる。
▼Webサイトのソフトを利用して指導
データを基にした空走距離と制動距離を指導する。
右の「車の停止距離の計算」ソフトを使って空走距離、制動距離、停止距離を測定します。
≫ 上記、通常データと応用の❶❷❸データを入力して計算結果を見せて説明してください。
▲クリックして試してみてください。
▼上記ⒶⒷⒸの反応時間を入力して時速40Kmでの計算結果は下記になります。
≫ Ⓐの時速40kmの場合、
空走距離 8.33m + 制動距離 7.87m = 停止距離 16.21m
と停止距離の半分が空走距離です。この空走距離を意識させることがポイントです。
また、
■ⒶⒷⒸの空走距離5~8m ■ⒶとⒸの文書を読み上げながらの操作では、0.25秒の差がある。
■空走時間 0.25秒の差は、約3m
の差が出ること、すなわち携帯での通話やメールの送受信は「脇見」「意識の脇見」により停止距離が長くなる。
その原因はドライバーあることを指導してください。
≫人が歩く速さ時速4Kmの場合は、
空走距離 83cm + 制動距離 8cm = 停止距離 91cm と大半が空走距離で占めています。
この5Km/h以下の急制動で「車は急に止まらない。」ことを体験させて、②との整合性により携帯電話の使用は停止距離を長くなることを体験により実感させることを目的としたものです。
具体的指導方法は、「管理者支援ページ」の
⑬ 追突しないための体験型指導方法①(基礎編 ツール・アプリを使った空走時間体験等)
⑭ ★追突しないための体験型指導方法②(実技講習等実施企業用 パスワード必要)
(実技編 停止距離体験、停車時相手に威圧を与えない車間距離等)
⑮ ★追突しないための体験型指導方法③(実技講習等実施企業用 パスワード必要)
(実践編 事故報告・発進追突事例からみた指導方法、 同乗指導方法、ドライブレコダー装着車の指導方法)
をご覧ください。
管理者の方への参考内容
ハンズフリーによる通話のリスク 法律の抜け道よりも安全運転を考える