細街路走行 (乗用車編)
~細街路を安全に走行するために~
~ 直進・離合・右左折 ~
私たちドライバーは、何気なく国道等道路を走っていますが、運転時の車両感覚は車道の路端寄りに引かれている区画線や、車道中央に引かれている中央線を、無意識な状態で目印にして運転しています。
しかし、中央線のない道路や狭い道路に進入したとき、対向車と離合できるか?駐車車両や障害物がないか?子供や自転車の飛び出しはないか?…など不安な気持ちで走ることがあると思います。
では、このような狭い道路を走行する際どのような考え方で運転また指導したらよいのでしょうか?
まず、道路について指導してください。
▌道路幅員とは、
道路の幅の広さは、車道・歩道だけでなく、路肩、植樹帯、中央帯等を含めた道路構造物全体の幅をいいます。
▌車道とは、
道路構造令で、車道とは自動車などの車両が通行するために設けられた空間と規定され、すれ違いや追い越しなどの交通実験を経て余裕幅をもって規定されています。
車線は、車道の通行を円滑に行えるように設置される帯状の部分で、車線幅員は一般国道、高速道路では2.75m~3.5m程度となっています。
▌センターライン(中央線)有無で車道幅員が変わる。
センターラインは、道路の中央を通行整理のために左右に分けるため引かれた線のことで、対向車線と自車線を分離するために設けられている「区画線」の一つです。 センターラインは、車道の幅員が5.5メートル以上の区間内の中央に引かれるもので、「車道中央線」とも呼ばれています。
センターラインが無い
車道幅員が、5.5m未満
センターラインがある
車道幅員が、5.5m以上
走行に不安に感じたときは、まず、センターラインの有無で判断しましょう。
▶中央線があれば、片側車線は、2.75m以上あります。~大型車の車幅は2.5m未満
▼中央線がなければ、5.5m未満ですので生活道路や細街路ということになります。走行する際は、減速や離合する際の一時停止等を意識して走行する必要があります。
▌生活道路とは、
日常生活に利用される道路で、車よりも自転車や歩行者の通行が多い道路のことで、国土交通省の作成する統計資料には「車道幅員5.5m未満の道路」を生活道路というと書かれています。
また、警察庁の「交通規制基準」では生活道路を「一般道路のうち、主として地域住民の日常生活に利用される道路」として定義されています。
▌細街路とは、
細街路とは、建築基準法第42条第2項の規定で、(災害発生時の避難経路の確保や住環境向上ため拡幅が必要な道路)道路幅員が4メートルに満たない道で、「細街路交差点」は、細街路が交わった場所をいいます。
ドライバーが運転する車両の寸法と車両特性を知っておけば、細街路走行時に生かせます。
▌自車認識
生活道路や細街路を走行するには車長・車幅・車高の自車認識が必要不可欠です。
大まかな車の車幅を知ることで、車道幅員等も読めます。
例えば、車の車幅では
・大型トラック・バスは、車幅2.5m、 ・小型・中型トラック 1.8~2.5m
・乗用自動車の車幅は、 ・5ナンバー ・・・ 1.7m以下 ・3ナンバー・・・ 1.7~2.1m
・軽四輪は、1.5m
▼信号待ち等で停止した場合、前車や対向車から車道幅員がわかります。
~自車認識があってこそ、対向車との離合や側方通過も可能になります。
また、細街路交差点等では、目視死角距離の活用が必要になります。
▼ 生活道路や細街路の場合
上の写真の駐車車両は、5ナンバーですので1.7m。道路幅4mの場合、自車も5ナンバーですので数字上は側方通過可能ですが、車幅はミラーの出っ張りは入っていませんので、無理な側方通過はやめましょう。▶迷ったらやめる。! ことを指導してください。
▌道路幅員が狭いと感じたら絶対に無理はしないこと。対向車があり離合しなくてはならない場合、事前に離合しやすい場所を見つけ、左側に寄って停止し対向車を先に通す気持ちで行動してください!… 下の写真のように車体を平行にして離合しやすいようにする事がトラブル回避につながります。
次に、細街路交差点の右左折です。
狭い交差点を右左折する際、車両前部が当たらないか? 左右にある電柱や石垣を巻き込まないか?不安になるものです。
よくある事故が、車両左右前部の接触を避けるため、早くハンドルを切ってしまい、左右側面を電柱や石垣に接触させる巻込み事故があります。
このような事故を起こさないためにも、把握しておかなければならないのは、自車の車両特性です。
❷車両特性
① 車両左右の最大巻込み距離
② 車両前部の最大はみ出し距離
~上記①②を把握しておけば右左折時の通行判断ができます。
また、原点回帰講習で把握させた目視死角距離やミラーの視認範囲距離等の活用を指導してください。
❷検証の目的(知りたいこと)
① 車両左右の最大巻込み距離
② 車両前部の最大はみ出し距離
~上記①②を把握しておけば右左折時の通行の判断ができます。
講習車プリウスを使用しての車両特性検証結果です。
~車検証~ 車長ー車長 4,575 mm x 車幅 1,760 mm x 車高 1,470 mm
~車長 約4.6m 車幅 約1.8m 車高 約1.5m
で、停止した状態から左にハンドルを一杯にに切ってゆっくり前進しての計測
▌結果
右前角の最大はみだし距離は、2.2m 右前角の移動距離は、4.7m
左後輪タイヤの最大巻き込み距離は、1.2m 左後輪タイヤの移動距離は、2.3m
となりました。
最大はみ出し距離(右写真)
講習車プリウスの最大はみ出し距離は、2.2mでしたが、余裕をもって2.5m位に見積もる方がいいでしょう。
右左折時の左右前部の移動距離(下の写真)
・右折時➤ 左前角が右へ4.7m移動
・左折時➤ 右前角が左へ4.7m移動
最大はみ出し地点はどの付近に見えるか?
下の◆運転席から見た最大は見出し地点 写真
▼それを運転席から見ると、右左折時の最大はみ出し地点がわかります。
交差道路幅員の測り方
●目視死角距離を活用する。
右図のように自身の死角距離を知っておれば、活用できます。
検証する場合、Bの身を乗り出したときの死角距離も知っておくとよいでしょう。
上の細街路交差点を左折する場合、目視死角距離をブロック塀下に合わせると、ブロック塀左の電柱が最大はみ出し地点になります。(最大はみ出し距離は、2.2m、目視死角距離4.5mですので、左を見てドライバーの真横に電柱や標識があれば1回で左折出来ます。が、写真では車体前部付近に電柱がありますので、巻込みの恐れがあります。)
身を乗り出し死角距離(3.4m)でも、交差点手前に電柱(左ピラー付近)があるため、ハンドルを左に切ると交差点手前の電柱に接触することになります。
次に考えなくてはならないのは、この電柱に接触させないための巻き込み距離(内輪差)と、障害物との間隔にもよりますが、どの地点でハンドルを切ればよいかを検証してみます。
車の内輪差(巻き込み距離)
検証結果では、左後輪タイヤの
・最大巻き込み距離は、1.2m 左に寄る
・左後輪タイヤの移動距離は、2.3m 進む
右の写真の車がハンドルを左に一杯切って進むと、左後輪タイヤが、2.3m進んだとき左側に1.2m左側に寄ります。(最大巻き込み距離)
上の写真の車の車長は、4.6mです。
お分かりかと思いますが、ドライバーの座ってる位置は、車のほぼ中央に座っているのです。
右左折時、障害物との間隔ににもよりますが、ドアミラー付近でハンドルを切ると巻き込み早くなり接触します。
ドライバーの座席位置は前後しますが、位置が変わらないのはセンターピラーですので、センターピラーを意識させてください。
写真は、左側端間隔50㎝で検証していますが、障害物と左側端の距離が狭くなるほど更に前進してからハンドルを切らないと巻き込み接触することになります。
私どもの指導は、ピラーを意識させ、ピラーを過ぎた付近でハンドルを切るよう指導しています。(20cmぐらいの間隔で通行できます。)
注: 停止してハンドルを一杯切って進行すれば、最小半径で左折できます。
結論
▶左側障害物の電柱との間隔が50cmで、その位置はセンターピラー付近あり、
▶前のブロック塀の下か見える位置(目視死角距離)また、身を乗り出し死角距離があれば、はみ出し・巻き込み接触もなく左折できます。なければ、車体を道路右側に寄せ、切り返し等を行う必要があります。
▮実践指導
上記、最大巻き込み距離と最大はみだし距離の検証後、時間があれば実践指導をしてみてください。右の動画は実践指導の動画になります。
狭いと感じたら停止してハンドルをいっぱい切って進行する「最小半径での運転」での行動を指導してください。
▮駐車スペースを利用した細街路交差点の通行指導
一般的な普通車用駐車スペースは、
➤間口 2.5m ➤奥行き 5m
です。
このスペースを利用すれば細街路交差点での右左折体験ができます。
難易度を上げるには、
●下の写真の障害物を置く。
●スペース出口の車路幅を変える。
ことで多種多様な体験指導ができます。
車庫スペース間口や車路幅にポール等の障害物を設置することで細街路交差点の右左折を体験させることができます。
注: バックモニターやアラウンドビューモニターが搭載されている場合は、基本関係を指導した後、同装置を作動させて指導してください。
上図は、車両特性とバック駐車行動を意識させた競技内容です。
右図は、上記競技会出発地点の車庫スペースの図です。
このように車庫スペースを活用することで細街路交差点の右左折体験指導ができます。
競技会では、車庫スペース間口角にポー等の障害物とT字路交差点に見立てた通路(4m)には同じくポール等の障害物を設置してあります。
これは、車体の巻き込みとはみ出しを意識させるためで、自身が運転する車の車両特性を把握していなければ非常に難しい行動になります。
すなわち、位置取り。 止まる。 確認する。やり直す。
を実践していかなければ障害物に接触します。
駐車スペースを利用した「細街路交差点の指導方法」
右の動画は、上の図を基に実践指導しものです。
駐車スペース(2.5m×5m)間口にポール等を設置しして難易度を上げています。
支援チームより
細街路での事故は、”早く抜け出したい”との気持ちから焦った行動になりがちです。
上記内容の講習をつうじて、業務で運転する車の車両特性等を指導・体験させることが事故防止につながります。
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