守る 信号交差点
信号交差点 右折時
▌信号交差点の右折時の事故は多発事故
右折事故が多いのは、
・対向右折車や直進車、横断歩道を横断する歩行者や自転車などのさまざまな危険を予測する必要があり、そのうえ判断の時間も限られているとなれば、負担は大きくなります。
であれば、時差信号、右折矢印信号があれば、右折矢印等に従えば、負担も軽くなるのではないでしょうか?
右図のようにトラックが右折する場合、
≫対向直進車 Ⓐ 車
≫Aの死角となった Ⓑ 車
≫右折先横断中の自転車・歩行者 のⒸ
確認が必要になります。
の走行順で指導方法検討してみます。
右の図のように対向右折車が貨物の場合直進してくる車両が見えにくくなります。
この場面では、やはり矢印信号や時差信号があれば、矢印信号等に従いましょう。
▼運送会社(トラック)
交差点事故等では、運送会社A社を掲載していましたが、右折事故がないので、B社運送会社(トラック)過去9年間の交差点事故内容を掲載します。
▼【B車の信号交差点右折時の事故内容】
・交差点にて右折信号が青になり、その際に対向車線の後続車が交差点内で停車していたが、その後続車が前へ進んだため右折を開始したが、右後方の巻き込みで相手方の後部(リアバンパー)に接触した。(右折巻込み、内輪差がどれだけあるか知っておく必要あり)
・交差点を右折する時に、右左折方向に迷いがありハンドルを切るタイミングが早すぎた状態であった事により内輪差で接触した。※本人は気が付いていなかった。後の通報で判明した。(右折巻込み)
・交差点で右折の時、直進車と衝突しそうになり、相手車が歩道へ突っ込み歩道の柵を壊し止まった。相手車の前が渋滞していたので、相手車は止まると思い右折を始めたら走行してきた。(右直事故、相手-直進車、アイコンタクト等意思表示が必要)
・右折2ラインの交差点の外側(左側)のラインを右折する時内側(右側)の車両に気付かず相手車のミラーに接触し破損させた(右折巻込み、右折時巻込み防止の安全確認)
・交差点で右折ラインを走行中対向車線を大型車両が走行していたため、右側に気を取られ左側の直進ラインで停車していた大型ダンプのミラーに接触した。(左方確認不足)
B製造会社(普通乗用車)
・信号で右折待ちしてて、対向車が左折後、自分が右折しようとしたところ、歩行者が直進しているのに気付くのが遅れて接触(対向横断歩行者見落とし)
・右折待ちから発進した直後に相手が黄色信号にも関わらず交差点に進入し衝突した(右直事故)
・交通量の多い交差点、北向きで右折時、信号は青で片道3車線の西側2車線が渋滞で止まっていたので通れると思ったのですが、3車線目が流れていて対向車(直進)が見えず衝突しました。(右直事故)
食品販売会社(軽四輪)
・お客様をJR〇〇駅まで搬送中、〇町交差点の右折車線を右折中、対向直進の車が衝突したもの(右直事故)
・右折するため交差点に進入。前方より自動二輪車が右折の合図を出しながら直進してきたため、交差点中央付近で衝突(右直事故)
・青信号交差点を右折している際、交差点先の左側道路かららバイクが右折して前方に来たため双方直前で停止したがその後自車が動いてフロンと左下フェンダーと衝突したもの(双方右折時衝突)
Q 図の大規模交差点(道路幅員15m)で乗用車が右折待ちⒶからⒷまでのどれだけの時間がかかるのでしょうか?
a 右折時間は感じる以上にかかっている。
二車線を横切るのに平均 6.1秒
遅い人で7.5秒 早い人で4.9秒
自動車安全運転センター「平成7年度調査研究報告書」内 「研修効果評価のための運転技能測定 手法に関する調査研究(Ⅲ)」 P28 右折所要時間の測定 被検者27人の平均
◆対向直進車の位置・速度等の判断誤り
➡ドライバーは右折する時間を実際よりも短く感
じている。
➡対向車の位置やスピードを甘く見積もる。
傾向があります。
とくに、運転者が先急ぎの心理に陥って、焦って右折しようとしてるときには、この傾向が強くなります。
★右図のトラックやバスであればラインを超えて右折するには更に長く時間がかかることを忘れてはいけません。(原点回帰講習で、自車の車長等を質問するのはそのためです。・・・自車のイメージのない運転は事故を誘発します。)
上記、調査研究のデータ(右折にかかる時間)を基に対向直進車の進む距離を試算しますと、
対向直進車が
●時速50Kmの場合、
≫5秒 ➡ 70m ≫6秒 ➡ 83m ≫7秒 ➡ 97m
●時速60Kmの場合
≫5秒 ➡ 83m ≫6秒 ➡ 100m ≫7秒 ➡ 117m
も進むことを頭に入れておく必要があります。
▼参考動画
右のボタンをクリックして動画を参考にしてください。
信号機のサイクル等について
(公益財団法人日本交通管理技術協会のホームページより)
交通整理の3種の神器
信号機を点灯する場合、タイミングの設定がポイントになります。
そのタイミングの表しかたには、[サイクル][スプリット][オフセット]の3種があります。
●サイクル(Cycle) 信号灯が青→黄→赤と一巡する時間を[サイクル]または[周期]といい、その長さを“秒”で表します。
サイクルが短すぎると通行できる量が少なく渋滞の原因となります。逆に長すぎるとムダな時間が増えます。サイクルは、交通量、交差点の大きさ、歩行者の横断時間などを考慮して最適な長さを決定します。一般に交通量の多い交差点では長くしています。
●スプリット(Split) 1サイクルの時間のうち、各現示に割り当てられる時間配分を[スプリット]といい1サイクルの時間に対する“パーセント”で表します。交通量の多い主道路側と、あまり多くない従道路側、どちらも同じ時間を占めると時間のムダが生じます。そこで、交通量に応じたスプリットが必要になってくるわけです。例えば100秒サイクルの場合、主道路側に60パーセント(60秒)、従道路側に40パーセント(40秒)というように割り振りします。
●オフセット(Offset) 幹線道路を走る車が、信号により停止することなく、各交差点をスムーズに通過できるように、隣接する交差点の青信号開始時間にずれを持たせます。この時間のずれを[オフセット]といい、1サイクルの時間に対する“パーセント”又は“秒”で表します。
例えば、100秒サイクルの信号機A、Bがあり、AB間の青信号開始時間に10秒の差がある場合は、10パーセントまたは10秒のオフセットがあるといいます。
[サイクル][スプリット][オフセット]は、スムーズな交通の流れを実現させるために大切なもので、まさに交通整理のための三種の神器といえましょう。
信号機のサイクル(周期)は、交差点の大きさや車や歩行者の数などによって異なり、一定ではありませんが、普通は約1分~約3分の間で動いています。
矢印信号機の時差制御を比較動画
【14種類】日本全国「時差信号」比較動画
■信号交差点右折時、ヒヤリハット分析の特徴的内容
▼追従右折時(二台目~)、前車急減速・停車による追突の恐れのヒヤリハット
上記【交通事故データから見る右折事故】には出てこなかった追突が19%となっています。
この内容は、前車に続いて右折する場合、先行右折車が「対向直進車の速度や距離等の判断誤り」や「対向直進車の信号無視」等があれば急停止することを考えれば予測できます。そのことは下の「右折時、前車の急停止等によるヒヤリハット内容」を見ていただければ分ると思います。
追従右折時「後続車のためにも早く曲がる。」「もう信号が変わるので対向車は来ないから続いて行ける。」等の思い込みや自己判断で右折しようとすると前車の急減速に対応できなく追突してしまいます。
右折時は思い込みをせず、気持ちを落ち着け、安全を確認してから発進する心のゆとりと、前車に続く場合はワンクッションおいて発進し車間距離を取ることが必要です。
◆対向直進自動車に対するヒヤリハット事例
相手 | ヒヤリハット内容 | 改善すべき事項 |
自動車 | 大通りの右折車線で信号待ちをしている時前車が右折し始めたので、右折の矢印信号が点灯したのかと思い交差点へ進入しようとしたら、対向車線から直進車が向かってきて、慌ててブレーキを踏んだ。すぐに信号を確認したら、直進優先の青信号だった。 |
前車の動きに惑わされ周囲の確認を怠り、思い込みの運転をしてしまった。周囲の状況は常に確認をとり、思い込み運転をしない。 ➡思い込みをしない。周囲の安全確認 |
右折しようとしている車両の一台後ろで、対向車の直進を待っていた時、信号が黄色に変わり、前の車両が交差点へ進入し始めたので、自車も速やかに右折しようとしたら、既に信号が赤に変わっており左から直進車が突っ込んできて、接触しそうになった。 |
矢印信号のない交差点では、無理に交差点へ入っての右折待ちは非常に危険である。安全に右折をするには、次の青信号を待つようにする。 ➡他車に合わせず目視による信号確認 |
|
右折をしようと信号待ちしている時右折の矢印信号が点いたので発進しようとしたら、対向車が赤信号にも関わらず自車の前を通過した。 |
信号が変わったからといって直ぐに行こうとせず、周囲の状況をよく確認してから発進する。 ➡信号無視車両があるかも?予測運転 |
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信号機のある丁字路を右折しようとしていた時信号が青になり、交差点に入ろうと徐行していたところ、左直進車が脇見運転をしながら直進して行ったのでヒヤッとした。 |
信号機が青だからと当てにして、別の方向から車は来ないだろうと思い込まず、安全運転を心掛けたい。 ➡信号無視車両があるかも?予測運転
|
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青信号を確認して右折しようとした時、信号無視の直進車に衝突しそうになった。 |
青信号に変わっても、左右を再度確認して、発進するよう注意する。常に防衛運転をするように心がける。 ➡信号無視車両があるかも?予測運転 |
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右折しようとしている時直進車が途切れず、なかなか右折できなかったので、赤信号に変わったところで発進しようとしたら、直進車が信号を無視し目の前を勢いよく通過した。 |
信号が変わっても、すぐに発進せず周囲の確認を怠らない。 ➡信号無視車両があるかも?予測運転 |
相手 | 対向直進車を認識していないヒヤリハット内容 | 改善すべき事項 |
二輪車 | 右折車線で信号待ちをしている時右折の矢印信号が点灯したので発進しようとしたら、バイクが突然目の前に現れ、ヒヤリとした。 | 信号が青に変わっても、周囲の安全確認はしっかり行い、直ぐに発進せずゆとりを持った運転を心掛ける。 |
右折待ちをしているとき対向車が停止して道をゆずってくれ、右折しようとしたら対向車の脇から原付が飛び出してきて接触しそうになった。 | 道を譲ってくれたからと言って慌てて右折するのではなく、一呼吸おいて安全を確認してから行動する。 |
信号交差点を手前を右折しようと停止
二車線跨ぎの行動を考えると
▶2tトラック~ 全長 約5m~7m
▶一車線車道幅員 約3m→二車線 約6m
▶・トラックが右折して二車線を抜けきるためには、
約11m以上必要
● 車長 5m + 二車線 3m+3m = 6m = 11m
11mを下記ツールで試算
上記ツールで
【ゼロ発進加速した自動車が一定距離を走行した時点の速度と所要時間】計算すると
道路を横切るためには、3.9秒(3.869秒)かかる。
右直事故の原因には、右折のタイミングのミス、視認不足、速度超過、 対向車線の後続車に注意していないなどが考えられます。矢印信号・時差信号があれば慌てず従うことです。
相手 | 右折時、前車の急停止等によるヒヤリハット内容 | 改善すべき事項 |
自動車 | 出勤途中の交差点で片側三車線の道路で右折車線を走行中、前方の車両がその前の車に追突、その後方にいたのが自分の運転する車両であったのでハットした。 | 記載なし |
信号待ちをしている時右折の矢印信号が点灯したので加速して右折しようとしたら、信号の変わりが早く、前車が急停車したので追突しそうになった。 | 周囲の状況にも気を配り、信号だけに気を取られることなく、ゆとりある運転を心掛ける。 | |
右折時、前車が青の矢印信号で急に止まってしまい、追突しそうになった。 |
前車との車間距離は十分にとる。 | |
右折待ちをしている時右折専用の矢印信号が点灯したので発進したが、自車の前の車で信号が黄色に変わってしまい、急いで渡ろうと考えていたのに前車が停止した為、追突しそうになった。 | 今回に限らず、いくら急いでいたとしても、ゆとりを持った運転をするように心掛ける。 |
●右折時追突事故内容
・配送途中において、〇〇線に向かう1つ手前の信号で、右折する際に対向車が信号無視で直進して来た為、前車が急ブレーキを掛け停車、自車もブレーキを掛けたが間に合わず前車に追突してしまいました。
(運送会社 貨物)
・交差点で前々方の右折車両があるため停止後、前方を確認せず、考え事をしてうつむきながらアクセルを踏んだため、前方車両に追突した。(製造会社 追突)
上記発生内容からも分かるように、思い込みや、脇見による追突事故が多く発生しています。信号待ち等では車間距離をとることが第一歩です。
右のYouTube動画は、前車との車間距離指導動画です。
参考にしてください。
右折時は、A対向右折車やB直進車の動向とともに、Cの横断歩行者や自転車への動きにも目を向ける必要があります。
横断歩道通行中の歩行者・自転車との事故内容
(製造会社 乗用車)
●通勤途上にて〇〇事務所西側信号より走行し、〇〇町T字路を青信号で右折。横断歩道上の歩行者に気づくのが遅れ、横断中の歩行者と接触した。
●信号で右折待ちしてて、対向車が左折後、自分が右折しようとしたところ、歩行者が直進しているのに気付くのが遅れて接触
●出勤時、直進対向車2台通過後、〇〇高校前交差点を青で右折する際、横断歩道を走行している自転車に気付かず、自転車後輪の接触して転倒させてしまった。
●道幅が狭い信号交差点を右折しようとした際に対向直進してきた自転車と接触 自車の右ヘッドライト下フロントバンパー、および自転車右ペダルが接触。相手の転倒なし。対向自動車、および左折待ちの自動車が出ていたが、かもしれない想定の不足により自転車の発見が遅れた。
▼1当四輪車側 道路幅員別 2当構成率
幅員「小」の交差点では対向直進の四輪車や二輪車の交通量が少く、その結果右折先の自転車や歩行者との事故の方が相対的に起き易くなるといえます。
また、幅員「大」なるほど、対向車線の交通量が増加し、平均的な走行速度も高いため対向車の発見や右折可否の判断が難しくなり、その結果事故が増えると考えられます。(イタルダ・インフォメーションNo95)
「小」は1当四輪車側車道の幅員が5.5m未満
「中」は5.5m以上13m未満
「大」は13m以上
▼幅員「大」の道路から進入する際は同方向からの自転車、歩行者を見落し易い
道路幅員別に事故発生時における自転車と歩行者の進行方向を示します。幅員が「大」なるほど「同方向」の割合が高くなります。
前項で見たように幅員が大きくなるほど対向車線の状況の把握が難しくなり、その結果、運転者の注意がより前方の対向車線に向けられるため、右折先の「同方向」からの自転車や歩行者への注意が疎かになるためと考えられます。(イタルダ・インフォメーションNo95)
▼夜間は同方向からの自転車、歩行者を見落し易い
昼夜別に、事故発生時における自転車と歩行者の進行方向を見ると、昼間の進行方向は自転車、歩行者ともに「対向」「同方向」が約50%ずつであるのに対して、夜間では「同方向」の割合が増えます(図11)。夜間、周辺が暗くなると四輪車の前照灯が届きにくいこともあり「同方向」の自転車や歩行者を運転者が認識し難くなるためと考えられます。(イタルダ・インフォメーションNo95)
▼自転車、歩行者の見落しは「注意散漫」「思込み・安全確認省略」が要因
四輪車側の要因では「対向四輪車に注意が向いた」「右折先が気になった」など、運転者の「注意散漫」による事故が多く見られます。右折開始前に周囲の安全確認をしっかり行い、右折先では十分減速して左右確認していれば事故は回避できたと思われます。
(イタルダ・インフォメーションNo95)
▌支援チーム
イタルダ・インフォメーションNo95の内容を掲載しながら右折事故データおよびヒヤリハット内容をみていくと、
右折事故の原因は、上記【他方注視、注意散漫、思い込み、注意散漫】が主原因となっています。
言い換えれば、それら事故原因をなくすためにも、
▶右折時は右折矢印や時差信号があれば、それに従い、待っている間に進行先の横断歩道周辺を確認する。
▶また、右直事故を防ぐためにも一気に右折せず、対向右折車で自車が直進車から見えないなければ、信号の無い交差点と同じく、「見せる停止」を考えて行動ことも必要だと感じます。
●その他
▶早めの合図~右折時の合図を出す時機は、30m手前からです。
▶追突を起こさない為にも、前車との車間距離をとる。(原点回帰講習で体験させるのもひとつです。)
ことも忘れずに