2 合図と並行移動イメージの車線変更
車線変更は、周りの車とのコミュニケーションで成り立っています。
◆「合図は車同士のコミュニケーション」であることを理解させてください。
車の動きや行先を知るには、【ブレーキ燈】【左右の指示器】【バック燈】しかありません。
それ以外は車の動きを見て判断するしかないのです。
このことを基準にして、車線変更方法を指導してください。
車線変更の基本的な考え方と指導方法
関連項目 |
① 周りの車の動きと交通の流れを予測すること
➡ 意思を持ったその時から周りの動きを読む。(周囲の安全確認と流れ(速度))
② 自分が車線変更をすることを周りの車に伝える
➡ 指示器を出す。… 早めの合図
③ 車線変更は平行移動をイメージする
➡ 加速して、追抜の車線変更はしない。
➡ 車線変更先の速度と同じ速度に。
(相対速度を0にする)
④ 危険を感じたら車線変更を止める
➡ 車線変更前に右側死角を目視する。
➡ 無理な車線変更は事故のもと。
ことが必要です。
≫ 参考動画
JAF MATE社「ドラドラ動画」に加速、急な車線変更、ブレーキという危険な車線変更動画があります。
1 前もっての安全確認が重要
車線を変えるには、移りたい車線と自分が走行している
車線の状況をは握することが重要です。
2 指示器で合図を出して意思表示
前後や移りたい車線を走行している車に意思表示。
安全に車線変更するには早めの合図
走りながら3秒以上点灯してから車を移動してください。
3 指示器の合図(3秒間)で安全確認
合図を出してる間に、もう一度安全確認
❶ 目視(前方)
❷ ルームミラー(後方)
❸ 合図
❹ ドアミラー(図の場合右横)
❺ 目視(ドアミラーの死角となる横)
の順で確認。
■事故歴のある人は、
車線変更時のヒヤリハット率が高い。
事故歴のない人の3倍
■ヒヤリハットから見た進路変更
▼合図と安全確認不足によるヒヤリハット(自身の車線変更時)
自身の車線変更時 ヒヤリハット状況 | ヒヤリハット体験による改善内容 |
① 普通自動車運転中左車線変更する際に、ドアミラーから視界に入らない場所に他の車両が走行していた。 | 今後も、~かもしれない運転を続ける。会議にて、この体験談を横転(水平展開)する。 |
② 合流地点で左側車線へ入ろうとした時サイドミラーで確認後、左にハンドルを切ろうとしたら、すぐ横に乗用車が走行していた。もう少しで接触するところだった。 | ミラーの角度が合っていなかったのが原因でもあるが、ハンドルを切る前に死角を目視で確認する。 |
③ 片側二車線の道路を走行中ウインカーを出して左に車線変更をしようとしたら、二輪車が自車のすぐ横をすり抜けて行った。 | 注意不足によるものであり、次からは行動を起こす前に安全確認を十分に行う。 |
④ 走行中左側が直進で、右側が右折車線となっている二車線道路の交差点を真っすぐ通過し、そのすぐ先に停車していた車両を避けようとしたら、交差点で右折車線にいた筈の車両が直進してきて、接触しそうになった。 | 急な車線変更をするのにも問題はあるが、交差点付近では十分な確認を行い、安全運転を心掛ける。 |
⑤ 運転中二車線の道路で、左から右に出る時、右に車はいなかったはずが、ハンドルを右に切った時、急に車がきた。 | 今後は、十分に後ろを確認して車線変更する。 |
■事故惹起者、初心者の車線変更を見ていますと、
≫ 安全確認と同時に、車線変更するタイミングを計り
≫ 今だったら車線変更出来る!と思うと
≫ 反射的に合図を出しながらハンドルを切り車線変更
をしています。➡ 合図とハンドル操作が同時
■実技講習から見た車線変更
下記の画像は、事故惹起者の実技講習時の車線変更場面です。
片側2車線道路の左側から右側車線に車線変更をしようとしています。
●流れはスムーズ
●前車と右側車線前方の
車は、ほぼ同じ速度
●前車との車間距離30m
この4枚の写真を見ての問題点は?
講習という場面にもかかわらず、
▼合図を出して2秒後には車線変更をしている。
(質問→合図を行う時期を知らない)
その行為をしようとする時の三秒前
▼加速状態で車線変更している。
(速度差 8Km/h)
▼加速状態で車線変更したため、
右側車線の前車との車間距離が
縮まる。→ 追突の危険性
(車間距離30m→22m)
≫47km/hの停止距離➡ 22.21m
(空走距離9.79m 制動距離12.42m)
反応時間0.75秒 路面乾燥摩擦係数0.7
タイヤ普通
▼47Km/hの適正車間距離は、32m
(47m-15=32m)
このように流れがスムーズな時であっても合図を出す時間が短いのです。
これが都市部で信号が多く設置されている道路では更に合図が遅れ、安全確認も不十分になる恐れがあります。
▼車線変更する意思を持ったら、まず合図(指示器を出す)するよう指導してください。
~ 事故惹起者、車線変更がスムーズにできない人、初心者の指導方法 ~
事故惹起者等の
合図・安全確認順番
まず、
❶ 「合図」を出す。
車線変更をせず
❷ 目視(前)
❸ルームミラー(後)
❹ ドアミラー(横)
❺ 目視(横)
の安全確認を行って、
平行移動感覚で車線変更
★無理と感じたら車線変更をしないよう指導してください。
一般向け
■上記内容に基づいた動画の解説
~ 左から右車線へ
≫合図開始 47:23秒
~ 合図を出してからバックミラー、サイドミラーで右後方の車両の動きを確認
≫車線移動開始 47:27秒
移動時、ミラー及び目視で安全確認
平行感覚で車線変更
■合図を先に出した車線変更(実技講習) ~上の動画とは別場面
下記の画像は、上記説明順番により事故惹起者の実技講習時の車線変更場面です。
片側2車線道路の右側から左側車線に車線変更をしようとしています。
●流れはスムーズ
●前車と左側車線前方の
車は、ほぼ同じ速度
●前車との車間距離20m
この4枚の写真を見ての問題点は?
▼車線変更の意思を持った時から
合図を出すよう指導 開始53秒
(速度 58Km/h)
▼速度維持と安全確認 54秒 (合図継続 速度 57Km/h)
▼速度維持したまま4秒経過 58秒
(合図継続 速度 58Km/h)
●左後続車➡車間を広げる
車線変更受け入れ
▼速度を維持したまま車線変更 59秒
左後方を確認しながら平行移動感覚
による車線変更を開始
全体の状況
▼合図から車線変更開始まで5秒間
先ほどの無理のある2秒間と今回の余裕のある5秒間の違いを実技指導で
体感させた方が理解できると思います。 この数秒が事故防止のポイントです。
▲問題点
左右車線の前車との車間距離が短い
▼57Km/hの適正車間距離は、42m
(57m-15=42m)≫57km/hの停止距離➡ 30.15m
(空走距離11.88m 制動距離18.27m) 反応時間0.75秒 路面乾燥摩擦係数0.7 タイヤ普通
同乗指導する場合、前車との車間距離についても注意を促してください。
車線変更を受け入れるドライバーから見た場合、
≫ 飛び込んでくる(危険に感じる)イメージを与えない車線変更のことです。
≫ 車線変更したいという意思(指示器で合図)が伝わっている。
≫ 左側車線から右側車線に平行移動している。
様に感じる車線変更のことです。
▼ドライブレコダーの画像での検証
下の3枚の写真はドライブレコーダから抽出した画像で、平行移動のイメージの車線変更です。
◆状況
指定速度50Km区間、雨天、
DR搭載車~この先の交差点で右折するため右側車線を50Km/hで走行、前車との車間距離 約40m
◆車線変更車両について
▽ DR搭載車側(運転者の感想)から見ると
≫ 速度50Km/hで走行中、指示器を点灯後左側車線から平行移動したように車線に進入 して
きました。
≫ 車線変更車両との車間距離もある状態でしたので、“ブレキーに足を掛ける”などの危険は
感じませんでした。
▽ 問題点(DR記録時間等を解析して)
指示器の点灯が2秒間しかなく、最低、法律が定める3秒以上の点灯があれば、受け入れ側
のドライバーにもっと余裕を与えることができます。
道路交通法施行令第21条(合図の時期及び方法)合図を行う時期~その行為をしようとする時の三秒前のとき。
◆時間の経緯による車線変更画像
○○分18秒
右指示器点灯
○○分20秒
車線変更開始
○○分22秒
右側車線に車線変更完了
前方に走る車(遅い)の後ろに付きたくない。
“早く行きたい!” “追い越したい!” このイメージを持つと加速したくなります。
この考え方を払拭するためには、
≫ C車に対して加速追抜きした場合の危険性
≫ 安全な車線変更方法
を同乗して指導することが一番いい指導方法です。
右図の黄色の車が前方に走る車(遅い)を追い越すため、右車線に進路を変更しようと、
≫ A地点で右指示器を点灯
≫ AからA1地点に進路を変更
■加速しての車線変更(A1地点)の危険性
▼C車にA車の意思が伝わっていない
A車が車線変更するまで3秒間指示器を出していても、C車には左後方から来るA車の意思が伝わっていない恐れがある。
▼追突の恐れがありトラブルのもととなる
●反感を抱く恐れがある。
C車がA車を受け入れる余裕よりも、反感を抱く恐れがある。~A車が加速するなど
●速度が上がるとともに安全確認率が低下、無理をするようになる。
・A車は加速状態と右横・右後方に注意を向くので前方が疎かになっている。
・白色の前車が何らかの状況で減速した場合
追突する恐れがある。
また、
図1 車線変更を考える
・C車が脇見をしていた場合、A車の車線変更に驚いて急ブレーキを掛ける恐れがある。
(進路の変更の禁止)道路交通法第26条の2
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
…急速な車線変更
をしないイメージ…
■平行移動を
イメージした利点
図1のA車が平行移動をイメージした車線変更した場合
≫ 速い車線への車線変更は、前車との車間距離を十分に空ける。
➡ 前車との車間距離があれば、全体の車の流れが読みやすく、若干の加速にも対応できる。
≫ A車が指示器を点灯➡ B車及び後方の車に車線変更したい意思が伝わる。
≫ B・C車の速度に合わせ、C車の右後方に位置する。➡追抜き加速時よりも危険度が軽減される。
≫ 前後左右の安全確認がしやすい。➡ 安全確認に担保された余裕のある平行移動ができる。
≫ 平行移動のイメージで車線変更➡ B車に「割り込み」のイメージを与えない。
等の利点があります。
⁂最後に、 “危険に感じたら車線変更をやめる”ことを指導してください。
基本的には、右側車線への車線変更と同じで、平行移動をイメージさせた車線変更を指導してください。
注意点
速度の遅い車線に車線変更するわけですから、
≫指示器を出す前に減速しない。
➡急に減速するとⒶ車が追突する恐れがあります。
≫指示器を出して、ⒶⒷ車に車線変更することを意思表示してください。
≫ⒶⒷ車の動きを確認しする。
≫左側車線の車の速度と同じ速度に。(相対速度を0にする)
≫平行移動をイメージした車線変更
≫ 危険を感じたら車線変更を止める
車線変更前に左側死角を目視することを忘れずに。
➡無理な車線変更は事故のもと。
を指導してください。
⁂最後に、 “危険に感じたら車線変更をやめる”ことを再指導してください。