走る一般道 Ⅱ
~ 新任ドラバー向け指導方法 Ⅱ ~
一般道路▶同交差点▶生活道路▶同交差点▶高速道路
項 目
▼路側帯、車道外側線や車道を走る自転車は、「危険ゾーン」との考え方
▌一般道路走行中で注意すべきこと(片側2車線以上の道路の場合)
▼知っていますか?合図の出す時機を
▼合流時のポイント
●合流はファスナー合流を考える
▼一般道を直進走行しているとき、道路左側に路上駐車している車があります。この時、何に注意して走行しますか?
●駐車車両のドア開け
~たった今停まった車や、タクシー、宅配便や引っ
越しトラックはドアが開くことが多いので特に注意
●車の影からの人や自転車の飛出し
~駐車車両で通行できないため、人や自転車が車道
に出てくる
●駐車車両の急な飛出し
~大型車は運転席からの死角が大きく、こちらの存
在に気付かず 車道に出てくる
等が考えられ、四輪車のドア開きによる当事者種別での事故は、右グラフのとおり、3%(人身事故)と少ないものの、物損事故はもっと多く発生していますので注意が必要です。
●側方間隔を最低でも1メートル以上空けるのが安全です。
車への乗降は、60cmなら人が入るだけの隙間ですが、90cm以上を確保すると、しっかりとドアを開けて乗降することができます。
●速度を落とす。
右グラフのとおり車の影から人が飛び出す可能性があるため、速度を落として注意しながら走行しましょう。
※センターラインが黄色い1本線(はみ出し禁止場所)の場合追い越しのためのはみ出し禁止を意味していますが、ただ、路上に停まっているクルマや停車中のバス、工事中の区間など、やむを得ない状況では、はみ出しが認めらます。(法17条5の三「その他障害」)その際は対向車や後続車に追い越しを知らせるよう指示器を出します。
★側方通過する際の考え方
●ブレーキランプがついていれば人が乗っている。▶ドアが開くかも
●ブレーキランプがついていない。▶乗っているかも!との考えで…
速度を落とし、距離をとって側方通過
●はみ出し走行できる場合の判断基準
右の図のように
★センターライン(中央線)色
★規制標識の補助板の有無
によって規制内容が変わります。
この内容は、自転車の追越の場合にも適用されます。
▼追い越す際の駐車車両との側方間隔(感覚)
●日頃から自身の左側端間隔(感覚)を養う…写真参照
~感覚とは、過去の経験に基づく無意識の判断基準~
運転席に座った状態で、判断基準の目印を見つける
ことが大切です。
同内容は、実技講習指導用支援冊子
▌【乗用車版】【 実車を使った交通事故防止指導マニュアル 】バック事故防止対策用【左側端間隔】
▌【貨物車版】トラック事業者のためのバック事故防止実技講習ノートに指導方法を掲載しています。【左側端間隔】
まず、自転車の飛出しを考える前に、自転車通行帯について知っておく必要があります。
一般道路を走っていると、右の図の様な自転車マークのある場面によく出くわします。その際、進入して通行しても良いか否か迷うことがあります。
この自転車通行帯は、平成28年に国土交通省と警察庁が策定したガイドラインで3種類の形態が右図ように示され、根拠条文は下記のとおりです。
▼自転車の通行に関する道路交通法(抜粋)
・道交法第20条第2項:自転車専用通行帯では、自転
車は自動車と同方向にのみ通行できる。
・道交法第17条第1項:歩道と車道の区別がある道路
では、自転車は車道を走行しなければならない。
・道交法第18条第1項:自転車は道路の左側端に寄っ
て走行しなければならない。
・道交法第63条の3:自転車道が設けられている道路
では、自転車道以外の車道を横断する場合ややむを
得ない場合を除き、自転車道を通行しなければなら
ない。
~一般道路直進中の自転車の飛出しは、6件で事例内容は、右表のとおりです。
歩道走行中の自転車が車道に飛出したのが、 4件と最も多く、次いで車道走行中のふらつき2件で、これを回避する手段は、ほとんどが急ブレーキ回避です。
自動車を運転するドライバー側から見ると
①一時停止や逆走などルールやマナーを無視した行動
が目立つ…一時不停止、一方通行逆走等
②天候や路面状況影響を受けやすいのに傘さし運転を
する。
③運転操作を軽く見て右の写真のような自分本位な危
険な運転をする。
④携帯やスマホを見ながら運転している。…等
▲対向車線の渋滞時は自転車の飛出しに注意が必要
▼では、自転車側はどう考えているのか?
参考▶自転車の安全利用促進委員会が行ったインターネ ット調査2013年12月全国の週一回以上自転車を利用してい る主婦(1,000人)
▌約半数が、事故に遭った、遭いそうになった経験者
▶事故を起こした経験 15%
▶事故に遭いそうになったことがある 32%
▌その原因は、【自分が原因】との回答が72%
▼路側帯、車道外側線や車道を走る自転車は、「危険ゾーン」との考え方
で、側方通過をしてください。
▶1.5m空けて側方通過できるかを考える。
参考~ 愛媛県「思いやり1.5m運動」
・ドライバーの主観的感覚で「50cmでも安全な間隔」と考えている運転者もいる
・間隔が狭いとふらつき自転車に追突する恐れがある。
▶自転車への追突事故の致死率は、出合い頭事故致死率の6.2倍
~発生件数こそ多くはありませんが、一度発生すると自転車利用者側の致死率が極めて高くなる傾向がありま
す。衝突時の自動車等の速度が高いこと、自転車利用者側が回避措置をとって自分の身を守ることが困難な
ことが原因
道路事情等から、安全な間隔を保つことができないときは、サイクリス卜に合図を送り、お互いに安全を確保
できる状況を作りましょう!
★道路交通法第30条においては、「車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。」とされており、軽車両である自転車は除外されています。判断基準~下記図例参照
★自転車の危険な行動から身を守るためにやむを得ない場合の選択肢の一つとして、
「自転車を追い越す際にクラクションを鳴らす」のも選択肢の一つです。
ただし、必要があっても強いクラクションの音を出すことには慎重になるべきです。
ビックリしてふらつきや転倒の恐れがあります。
その他、自転車等の事故事例(一般道路走行時、飛出し事故事例)
●片側1車線の道で、左側の歩道が無くなる場所で、一定車速で走行中に、相手の自転車が歩道が無くなる所で、草むらの陰から右側通行の自転車が車道に飛び出して来て、急な出来事だったため、本人は、車両にブレーキをかけることができず、自車のサイドミラーと自転車のハンドルが接触した(製造会社 乗用車、予測誤り)
●走行中に小動物が右側から飛び出した。回避のためハンドルを左に切った際、タイヤが側溝にはまりブレーキが効かないままガードレールを押し倒しながら前進。車輌が止まった場所で左へ傾き横転。(運送会社 貨物車、急ハンドル前のブレーキ)
●道路左側を直進中、自転車が歩道から急に飛び出してきて当車の左側面に衝突し転倒(食品配達 軽四)
走行方法(原則は、左側走行)
片側に複数の車線を有する道路は、原則として追い越しや右折のための走行時を除いて、一番左の車線の走行するよう道交法で定められています。第20条第1項において、「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。」と規定されています。
●行き先によって車線変更の必要がある
片側複数車線では、原則としてもっとも左の車線を走行しなくてはなりません。交差点で右折したい場合は右側車線へと車線変更を行い、さらに右折専用レーンへ入っていきます。右折ために右側車線を走行することは認められているので、後続車との間隔や混み具合を把握し、適切なタイミングで車線変更を行いましょう。
●車線変更してくるクルマに注意
前方に、ウインカーを出して車線変更しようとしているクルマを見かけたら、スピードを落として車間距離を広げ、そのクルマを入れてあげてください。(入れさせないように、前車に詰めたりすれば事故の原因にもなりますので、ドライバー同士相身互いの気持ちで入れてあげましょう)
また、交差点の手前では、道を間違えたクルマが、割り込むように車線変更をする場合もあります。交差点手前では特に車間距離を広くとり、割り込みや強引な車線変更に対応できるよう、いつでもブレーキペダルを踏めるようにしておくといいでしょう。~ 常に前後左右の交通状況を把握するように努める
●前方だけに集中せず、周囲の交通状況の確認運転に慣れること
交通量が多く、片側に複数の車線のある幹線道路では、横方向や後方の確認をおろそかにできません。
横方向の目視と、ルームミラーとサイドミラーによる後方の視認を意識して行い、接近するクルマやバイクはないか、また自身が行列の先頭になっていないかを確認。周囲の状況を把握しながら走行します。
そのためにも、前車との車間距離を広めにとる癖をつけてください。
片側2車線以上ある道路
片側に2つ以上の車線のある道路は、幹線道路と呼ばれる道路が多く、片側1車線の道路と比較して交通量が多く、二車線以上になると、単路ではなかった車の進路変更(車線変更)という問題が出てきます。
車線変更による事故AB車の【基本過失割合】(一般道の場合ソニー損保)
B車は、車両はみだりに進路を変更してはいけない(道路交通法26条の2・1項)と定められ、また、進路変更後の進路を後方から走る車両等の速度や方向を急に変更させるおそれのあるときには、進路を変更してはいけない(道路交通法26条の2・2項)とも定められています。
一方、A車は、合図などで前方にいる車両の進路変更を予測できるため、後続直進車にも前方をよく見ていなかったことに対する過失があります。(A:30%、B:70%が基本過失割合)
ですが、現実の進路変更時の事故は、トラブルになることが多い事故です。
進路変更時の交通事故が発生すると
≫ B車は、≫追突された。
≫ A車は、≫割り込んできた。
など、トラブルとなることが多い交通事故です。
▌知っていますか? 合図の出す時機を
● 合図は出すだけでは、意味がないのです。 合図を出しても周りが認めてくれなければ効果がありません。少なくとも周りのドライバーにその合図を出して意思表示をし、それでは「どうぞ」とコミュニケーションをとれるだけの時間が必要となります。
●それが道路交通法で定められている合図を出す必要な時間(進路変更は、3秒)であり距離(右左折は、30m)です。
合図は、車同士のコミュニケーションということを忘れないようにしてください。
進路変更の合図の時間は3秒です。右車線へ車線変更しようと思ったら、まず合図を出し、その間に右図の確認を行ってください。
講習等で受講者の動作を見ていると皆さんの行動は早いのです。3秒間は進路を変えずその間に安全確認をしてください。
車線変更する際も、急にハンドルを切るのではなく、横移動するようにハンドルを切ればスムーズに変更できます。
▼進路(車線)変更のポイント① ② ③
①ます、合図を出し車線変更の意思を伝え
合図の間に安全確認 (意思が伝わったかを確認)
②右車線の流れに乗る。
③「この車の前に入れるか?」と思ったら、
その車の後ろに入るつもりでスピードを調節する。
入れてくれない車は、前車との車間距離を詰めます。
入れてくれる車は、速度を調整して車間距離を広げてくれます。
【ヒヤリハット事例 進路変更】
●二車線道路で左車線を走行中、右車線を走行してきた車が急に割り込むような形で車線変更をしてきたのでぶつかりそうになりヒヤリとした。
●車通りが多い道路では、事故が多く発生するので前方後方の車の動きを良くみて危険予知を持った運転を心がける。
●片側三車線道路の左側車線を走行中真ん中車線を走行していたトレーラーが、左にウインカーを出してすぐ車線変更しようと自車へ接近してきたが、並行していた為ウインカーに気付くのが遅れ、トレーラーの後部と接触しそうになった。
●後方の道路状況をよく確認し、周囲の車両が車線変更してくるかもしれない事を予測して走行する。トレーラーなど大型車の横を走行する場合は、ウインカーが見にくい事があるので十分注意する。
上記運送会社 車線変更時事故内容
●片側2車線の右レーンを走行中、前方車両との車間が詰まってたので、左レーンに車線変更で回避しようとした際、十分な減速がされていなかった為、相手車両に接触した(車線変更(左)、前部右角)
●国道の3車線の中央を走行中、右折する為に右車線へ進路変更する際、当社右後方バンパーと右後方より接近してきた乗用車の左バンパーに接触した(車線変更(右)、後部右角)
進路変更時の事故事例
●直線道路で、車線変更(追い越し車線から走行車線に移行)している際に、 道路脇のコンビニから出てくる車両と、自車の左側FR/RRドア部に接触。(製造会社 乗用車、合図・後方不確認)
●右車線から左車線に変更しようとしたところ、左車線の車輛の加速が思ったより強く 入りきれず車輛側面どうしが衝突(製造会社 乗用車、合図・速度判断誤り)
●片側2車線の右レーンを走行中、前方車両との車間が詰まっていながら、左レーンに車線変更した際、十分な減速がされていなかった為、相手車両に接触した(運送会社 貨物車、合図・速度判断誤り)
●国道の3車線中央を走行中、右折する為に右車線へ進路変更する際、当社右後方バンパーと右後方より接近してきた乗用車の左バンパーに接触した(運送会社 貨物車、合図・右後方安全確認)
●車線変更をしようと右に寄った時、右側車線を猛スピードを出した車が左車線寄りを走行し、当方車線変更前のバイクにぶつかりそのまま相手は逃走したもの(食品販売 軽四輪、合図・右後方安全確認)
合流場所において、加速車線から本線車道に合流する四輪車と、本線車道を走行中の四輪車が衝突した場合の事故です。右図(ソニー損保)
この事故の基本過失割合は、本線走行車Aが30%:合流車Bが70%です。
加速車線から本線車道に入ろうとする場合は、本線車道を走行する自動車の進行を妨げてはならない(道路交通法75条の6、1項)と定められています。
一方、本線車道からは合流車が確認できるので、スピードを落としたり車線変更をしたりするなど、衝突を避ける措置をとることが可能なことから、本線車道を走行中の車両にも30%の過失が生じます。
合流時のポイント
バイパスや国道への合流など、一般道でも合流が必要な場面は多く見られます。その際、スムーズな合流をするには、合流する本線の交通の流れに近い速度で、前の車についていくようなイメージで平行移動するように車線に入るのがポイントです。
ファスナー合流は、洋服のファスナーのように、加速車線を最後まで使い切って先頭まで行き、1台ずつ本線に合流する方法のことを指します。
渋滞時の合流をスムーズに促すファスナー合流(ジッパー合流)ファスナー合流は最も安全で、クルマの流れを極力妨げない方法です。
本線への合流では、車間が空いている場所を見つけて、右ウィンカーを出して割り込むようなかたちで合流するクルマも見られます。
そうした合流は、接触事故や新たな渋滞を引き起こす原因にもなるため、加速車線を使い切っての合流をお勧めします」
▼本線に進入する際は、まず走行車線から
右下の動画は、加速車線から一気に追越車線に進路変更する動画です。
DR搭載の車両の後方にはトラックが…(一気に二車線跨ぎをしない)
右の動画は、講習時に遭遇した動画で、当車が時速50Kmで走行時、後方の追従していたトラックは加速車線に軽四輪がいるのが見えたので追い越し車線に進路を変更。
しかし軽四輪は一気に追越車線まで進路を変更したことによるヒヤリハット動画です。
このような行動は事故の原因や車線変更してくれたトラックドライバーに事故回避の行動をとらせることになりますので、まず第一車線に入ってから安全確認した後、追越車線に進入するようにしてください。
【ヒヤリハット事例 合流】
左車線を走行中、合流からトラックがきたため、右車線に移動したあと左車線に戻ろうとした時に合流から普通車がきて危うくぶつかりそうになった。
実際、左のミラーを一瞬しか見ていなくてちゃんと目視してから車線変更ができていなかったので左側は右側より死角となっていたため必ず目視をしてから焦らず車線変更することを心掛けたいです。
【ヒヤリハット事例 合流】
道の駅に向かう途中立体交差の下の二車線から一車線に代わる場所で左後方から割り込もうとしてきたトラックを見落としてしまいぶつかりそうになりヒヤリとした。
常に周囲の確認を怠らない。
▼合流時事故内容
●本線左側道より本線2車線右側車線に出ようとした。赤信号停車中の1台がスペースを開けてくれたので徐行しながらトラックのフロント部を前に出した際、右側車線を走行していた軽乗用車に接触(運送会社 貨物車、前部右側、慌て確認不足)
●側道から本道国道に合流する際に、本道のトラックがスピードを落とし自分の前に入るよう車間をあけ譲ってくれたため、車両を発進させたが、左進行方向に停車中の車両を見落とし追突(運送会社 貨物車、前部、慌て確認不足)
事故のどちらも慌てによる確認不足が原因となっています。
入れてあげようとしているのですから、焦らずに安全確認して合流することを心掛けてください。